遺産分割には、いくつかの方法があります。現物分割は、その中でももっとも基本的なものです。 |
現物分割は、遺産をそのままの形で相続人が取得する方法です。たとえば、遺産の中に複数の不動産があるとき、それぞれの相続人が1つずつ不動産を相続する場合や、遺産の中に預貯金と不動産、株券がある場合に、1人が預貯金を相続し、1人が不動産を相続し、1人が株券を相続する場合などです。
現物分割を行うと、複雑な計算は不要ですし、わかりやすく手続きも簡単です。スピーディーに遺産分割ができます。全員が納得するなら、非常にメリットのある方法と言えるでしょう。
しかし、現物分割をすると、不公平になることが多いです。たとえば、3つの不動産があって兄弟3人で分けるときに、不動産を1つずつ相続するとしても、3つの不動産には価値の差があることが普通です。また、不動産と株券、骨董品を3人がそれぞれ取得する場合などには、不動産が最も高額になり、、株券や骨董品を相続する相続人との間で不公平になってしまう可能性が高いです。そもそも遺産が不動産1つだけ、というケースでは、誰か1人しか遺産を相続することができなくなってしまいます。このように、現物分割では、公平な遺産分割が難しいため、相続人が不満を持つことも多いです。