相続人の中に、被相続人から生前贈与を受けている人がいる場合には、特別受益があると認められることが多いです。 |
特別受益が認められるのは、相続人が、被相続人から婚資や養子縁組、生計の資本のために遺贈や生前贈与を受けたケースです。たとえば、娘が結婚をするときに父親から持参金を受けとった場合や養子縁組をするときに、住居を贈与された場合、息子が事業を開業するときに、父親がまとまった資金援助をした場合などに、特別受益が成立します。
特別受益が成立するためには、受益を受けた人が、受益を受けた時点で推定相続人である必要があります。そこで、相続人ではない人が生前贈与受けても特別受益にはなりません。孫が代襲相続するときには、贈与を受けた時点で代襲原因が発生しているかによって結論が異なってきます。代襲原因とは、孫の親である被代襲相続人の死亡のことですが、被代襲相続人の死亡前の贈与であれば、孫に特別受益は成立しません.これに対し、被代襲相続人の死亡後であれば、孫はすでに推定相続人になっているので、その時点で贈与を受けたら特別受益となります。
大学の学資も特別受益になることがありますが、他の子ども(相続人)も同程度の高等教育を受けているケースでは、特別受益にはなりません。学資が特別受益になるためには、他の相続人と比べて不公平になっているかどうかや、家庭の経済事情などによって個別に判断する必要があります。