遺贈とは、遺言によって財産を分与することであり、死因贈与は死亡を原因として財産を贈与することです。この2つは、似ていますが異なる点も多いです。 |
まず、遺贈は一方的な単独行為ですが、これに対して死因贈与は契約です。遺贈は受遺者の承諾がなくてもできますが、死因贈与を行うときには受贈者の承諾が必要です。
このこととも関連しますが、死因贈与の場合には、自分の死後、受贈者から拒絶されることはありません。これに対し、遺贈は遺言者の一方的な単独行為ですから、相続開始後に受遺者から拒絶される可能性があります。
また、遺言は要式行為ですから、様式に従った方法で遺言書を作成する必要があります。書面なしで遺言をすることはできませんし、要式を外れると無効になります。これに対し、死因贈与は契約ですから、口頭でも成立します。ただ、口頭で死因贈与契約をしても、死後に他の相続人に対抗することは困難でしょうから、普通は死因贈与契約書を作成します。
また、遺言書は検認が必要ですが、死因贈与では検認は不要です。
以上のように、遺贈と死因贈与は異なる点がたくさんあります。
自分の死後に遺贈を放棄されるのが心配なら、死因贈与を利用すると良いでしょう。反対に、財産の分与内容を相続人その他の人に知られたくない場合には、遺贈を利用することをお勧めします。
どちらのケースでも遺言執行者を定めておくと、内容を実現しやすくメリットが大きいので、弁護士などを遺言(死因贈与)執行者として指定しておくことをお勧めします。