祭祀財産とは、先祖をまつるための財産です。 家系図などの系譜、仏壇仏具などの祭具、お墓などの墳墓が該当します。 これらについては、通常の遺産分割協議で分けることはありません。 その際、祭祀承継者をどのようにして決めるのかが問題となります。 |
祭祀承継者を決めるときには、まずは被相続人の意思が優先されます。
被相続人が祭祀承継者を指定していると、その指定内容に従って祭祀承継者が決まります。
具体的には、遺言で指定されることが多いです。
被相続人による遺言がない場合には、慣習によって決まります。
たとえばその地域で長男が祭祀を承継する慣習があれば長男が承継しますし、長女が承継する慣習であれば長女が引き継ぎます。
被相続人による指定も慣習もない場合には、家庭裁判所が決定します。
この場合、家庭裁判所に「祭祀承継者指定調停」を申し立てて、その中で誰を祭祀承継者にすべきか話し合います。
それでも決まらなければ、状況に応じて、手続きが審判に移行して、家庭裁判所が適切と考えられる祭祀承継者を決定します。
審判で祭祀承継者が指定されると、当事者間の関係が悪化して、実際の祭祀の実行に支障が生じてくることもあります。
祭祀承継者の指定は、なるべく調停までの段階で決めた方が良いでしょう。