退職金規程があると、退職金の支払いが雇用者の義務となりますので、従業員から未払い退職金の請求をされますし、裁判を起こされる可能性もあります。 |
・退職金規程と退職金支払い義務
企業が退職金規程を策定するかどうかは、自由です。ただしいったん退職金規程を作ったら、その規定内容に従った退職金の支払いが義務となります。企業側と労働者側で、退職金支払いについての合意ができたのと同じことになるためです。
経営状況が悪化したとか、従業員の成績不良などを理由として一方的に退職金を不支給にすることはできません。
・退職金の法的性格
退職金は、「賃金の後払い的性質」と「功労報償的性格」の2つの性質を併せ持つと考えられています。つまり、在職中の賃金が一部退職金として支払われるということと、在職中の企業への貢献が評価されて退職金として支払われるということです。
・退職金を支払わない場合の問題
退職金規程を作ったにもかかわらず企業が支給しない場合、従業員から未払い退職金の請求をされます。
労働者側からの請求に応じないと、労働審判や労働訴訟を起こされて、責任を追及される可能性が高いです。未払い退職金には支給予定日から年6%の遅延損害金も加算されるので、支払いをしない期間が長引けば、その分金額が膨らんでいきます。
また退職金の時効は5年であり、一般的な賃金の時効期間の2年より長いことにも注意が必要です。退職してから5年以内であれば、請求を受ける可能性があります。
退職金規程を作ったら、不支給や減額が認められる例外的なケースでない限り、確実に支給する必要があります。対応に迷われたら弁護士までご相談下さい。
・離職を防ぎやすくなるる
退職金規程があると、長く働いた方が得になるので離職を防ぎやすくなります。