まずは相手の主張をしっかりと分析し、法律的な反論を検討して答弁書を作成しましょう。当初の段階からしっかり証拠資料も揃えておく必要があります。 |
・労働審判は話合いの手続きだと思われていることが多い
残業代や解雇などの問題で従業員とトラブルになると、「労働審判」を申し立てられることがあります。
労働審判は、労働者と雇用者との間の法的トラブルを解決するための専門的な手続きです。
裁判官(労働審判官)1名と、労働問題に詳しい民間人である「労働審判員」2名によって構成される「労働審判委員会」が、労働者と雇用者側の話合いを仲介し、話合いができない場合には審判を出して解決方法を示します。
労働審判は、当初話合いの方法で進められるため、企業側は「話合いの手続き」と考えて、ことを重大にとらえず、きちんと用意をせずに臨んでしまうケースが多々あります。
・労働審判では早期に適切な対応が要求される
しかし、労働審判は、話合いが成立しなかったら審判官が結論を出してしまう手続きです。そのときには、双方の法的な主張や提出した証拠にもとづいて判断されます。
法的に主張内容や立証内容が整っていなかったら、不利な結論が出てしまうのです。
しかも労働審判はスピーディに行われる手続きで、3回調停が不成立であればすぐに審判になってしまいます。そのときになってから資料や法的主張を準備しようとしても「時既に遅し」となってしまいます。
そこで、労働審判の通知が届いたら、当初の段階から法的な主張と立証方法を整えておくべきです。
企業が独力で労働審判に対応するのは難しいことが多いので、労働事件に精通した弁護士に相談をして充分に検討を行い、企業側の主張を反映した答弁書や証拠をまとめて提出しましょう。