労働災害が発生した場合、従業員は事業主に対し損害賠償額を請求することが可能となります。労働災害の損害賠償額は金額が高額になるケースが多いので、1つ1つの賠償額の項目について慎重に判断しなければ、本来受け取るはずの賠償額を受け取ることができない可能性があります。
主な損害賠償額における項目では、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、葬儀費などがありますが、これら各項目において適切な賠償額を計算しなければなりません。
また、労災の損害賠償額計算において、特に注意しなければならないのは、「過失相殺」という考え方です。労働災害は、従業員本人にも過失があるために発生していますので、従業員の過失については一定割合を損害賠償から控除しなければなりません。この、一定割合の過失分を控除することを過失相殺といいます。
しかし、問題となるのは過失相殺の割合は、事故や疾病などの状況によって変化することです。交通事故問題においても過失相殺というものはあるのですが、交通事故と比べ労働災害は裁判例が十分とはいえない状況にあるので、交通事故ほど明確に基準があるものではなく、裁判官によってもばらつきがあるものなのです。
つまり、労働災害の損害賠償額計算は、労働災害の専門家である弁護士でなければ、適切な損害賠償額を計算することは難しいのが実情なのです。